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もう山崎豊子のような作家では出てこない。(西沢昭裕)

                          西沢昭裕 
名護市長選挙の勝利ほんとうに良かったですね。こんどは東京都知事選挙で宇
都宮さんを勝たせたい。
 都知事選もすんだ二月中旬にマレーシアのボルネオを行ってくることになった。
 数年前に北ベトナムの棚田を見に行ったら中国系マレーシア人夫婦と親しくなっ
た。この夫婦が昨年日本にやってきて日光戦場ヶ原など案内したら、こんどはボ
ルネオに連れて行ってくれるという。クアラルンプールからコタキナバルまで飛
行機で一時間弱。ボルネオ最高峰のキナバル山に登る元気はもう全くない(二泊
三日の山中泊が必要)。
 山崎朋子『サンダカン八番娼館』で有名なサンダカンにも行く時間がないのが
残念。サンダカンには日本人からゆきさんの墓が祖国日本に背を向けてたくさん
建っているが行ってきた女性にきいたら朽ち果てつつあるという。
 そこでマレーシアを舞台にした小説を読もうと思い、女房が図書館から松本清
張『熱い絹』を借りてきた。マレー半島の中部にキャメロンハイランドという高
原があって静岡みたいなきれいな茶畑がサカイ族に栽培されているのだそうだ。
マレーの虎といわれた山下奉文将軍がマレー半島を一挙に南下してシンガポール
を攻略したさいに静岡連隊から逃亡兵がでて…という設定でなかなか面白かった。
 児島襄『戦艦大和』を読んでみた。戦艦大和の建艦から最期までを主砲の村田
射撃手(奇跡的に生還した)に語らせながら丁寧に描いているが、吉村昭『戦艦
武蔵』の戦争のむなしさが迫ってくる圧倒的な感動には比ぶべきもない。児島襄
は日本海軍の艦隊がサンダカンなどの港に寄港すると、水兵たちがわれ先にと娼
館へ走って順番を待つ場面を戦艦大和の射撃手に淡々と何事もなかったかのよう
に語らせているが、『サンダカン八番娼館』を読んだことがあるだけに、何とも
複雑ないやな気持ちになった。
 吉田満『戦艦大和』には沖縄への海上特攻に片道燃料で出撃する戦艦大和の水
兵たちの戦闘前夜の心理と論争が描かれているというので、いま読み始めたとこ
ろ。
 私は山崎豊子と山崎朋子を数年前まで同一作家だと思い込んでいた。山崎朋子
は若いときに元恋人にナイフで顔を深く切られるという不幸にあった女性である
が、からゆきさんの過去をもつ天草の底辺に生きる女性たちのなかに飛び込んで
『サンダカン八番娼館』を書き上げたことを著者の後書きで知った。若い女性に
読んでほしい本だ。
 いっぽう山崎豊子は昨年亡くなったが、『大地の子』『二つの祖国』『沈まぬ
太陽』『白い巨塔』『不毛地帯』などがあまりにも有名。新作では沖縄密約を暴
いて有罪になった西山太吉記者を描いた『運命のひと』がある。西山さんは秘密
保護法の危険性に警鐘乱打している。『不毛地帯』は山本薩夫監督の映画でみた
だけだが、仲代達矢演ずるモデルとされた瀬島龍三をやや美化しているように思っ
た。『白い巨塔』は田宮二郎主演の映画でみた記憶がある。
 山崎豊子ほどスケールの大きな女性作家は今後出てくるのかどうか。

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